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本の話

『雪が白いとき、かつそのときに限り』(陸秋槎)―ひとすじの足跡

本を開いただけで冷たい風が流れ込んでくるような心地がした。胸をはっとさせる雪の匂い。 昔、推理小説ばかり読んでいた時期がありました。それもいわゆる新本格ミステリと言われる、厳格なロジックのものばかりをです。「新本格」はロジックを重んじて、情...
寒宵堂雑記

春の大曲線(天体議会ぽいもの)

春の夜です。 北斗七星を見つけ、その「ひしゃくの柄」のカーブを延長していくと、うしかい座のアルクトゥルスを通り、おとめ座のスピカまでたどり着きます。天頂から南の地平線まで降りる、このやわらかくおおきなカーブを、春の大曲線と呼びます。 この画...
周年記念記事

寒宵堂二周年

今年の北海道は雪解けが早いです。 雪片曲線のロゴなんて作っているあいだに春になってしまったことだ。 寒宵堂は二周年を迎えました。 タイトルのところに「本を読んで絵を描きます。」とあるのですけど、この説明文をつけたときには少し考えました。あま...
本の話

『バルセロナ、秘数3』(中沢新一)―中沢新一という視点

自家用CDジャケットを作成しました。バッハのトッカータ、BWV911のために。私にはこの曲のフーガ部分は、森の中で鳥が鳴き交わしているように聞こえます。 中央のゴム版は単色で押し、画像を取り込んで加工する段階で、鳥だけ色を変えています。 ほ...
カード

雲海の夜が明ける(2020年賀状)

あけましておめでとうございます。2020年も寒宵堂をよろしくお願いします。 今年の年賀状は、小野不由美著『十二国記』シリーズより、陽子と楽俊でした。 いや、年賀状……間に合わないかと思った……。 ただでさえ私は筆が遅いのに。 確認のため、シ...
本の話

『終電車ならとっくに行ってしまった』(フジモトマサル)―夜の好きな人のために

私は夜の好きな子どもだったし、今でも夜の好きな大人だ。 静まりかえった道が青白い街灯に照らされているのや、知らない家の灯がぽつんと点いているのを見るのが好きだ。貨物列車が太古の竜のように厳粛にカーブを曲がり消えていくのも、よく見に行った。そ...
図書館の話

夜中の図書館へ渾沌を探しに行く

灯りを携えて夜中の図書館を歩き回りたい、という夢が昔からありました。 たぶんこの空想の発端は、禁帯出の魔法書を借り出しに行くJ.K.ローリングの『ハリー・ポッター』シリーズだし、決定打は、迷宮になった図書館に忍び込むウンベルト・エーコの『薔...
本の話

『光車よ、まわれ!』(天沢退二郎)―隠された宝の冒険

これは、本読みの手から手へと受け渡されてきた、隠された宝です。『光車よ、まわれ!』。詩人の天沢退二郎が、子どもたちに贈った冒険物語です。 さて、1973年初出のこの本が、30年以上の時間を経て、高校生だった私、石井の手に届くまでには、すでに...
本の話

『少年アリス』(長野まゆみ)―卵の円環

親友と夜中の学校へ忍び込んだアリスは、そこで行われているもう一つの授業を目にする。見知らぬ生徒たちに、奇妙な授業内容。アリスは、偶然ポケットに入れていた石膏の卵のせいで、なぜか彼らの仲間と間違えられ、授業に加わるが……。 かつて、私の通って...
イラスト

瞳子、遊砂、そして四季

閉ざされた学園を舞台にした、森深紅の小説『アクエリアム』より、三人の子どもたち。左から遊砂、主人公の瞳子、そして四季です。 以前この小説の紹介をしたときに、瞳子と遊砂しか描かなかったので、心残りがありました。 四季(右端の子)、すっごく好き...