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紀行

「月光百貨店」と足穂の神戸

兵庫県芦屋市の「月光百貨店」で開かれた、“稲垣足穂オマージュ展2024 一千一秒奇譚”(会期2024年7月21日から8月4日)に行ってきました。 ちょうど関西に用事があったので、思い切って足を延ばしてみたのです。実は、芦屋もですが、神戸を訪...
紀行

『神さまたちの遊ぶ庭』トムラウシに行ってきました

抜けるような広い空です。小鳥のさえずる声以外は、なにも聞こえない。 学校は午後の授業の時間でしょうか。しんとしています。 宮下奈都のエッセイ『神さまたちの遊ぶ庭』で描かれる、ここが、トムラウシです。 一目見てみたかった。 たしかに「景色が神...
イラスト

木漏れ日/木下闇

木漏れ日を描こう、と思い立って始めたのだけど、本当に描きたかったのは木下闇の方だったかもしれない。人物の顔のほとんどを、陰に入れてしまう。視線も闇の方を見てもらう。そのほうが眩しくないしね。有栖川有栖著の“学生アリス”シリーズより、江神さん...
本の話

『秘密の花園』(三浦しをん)―花園は私たちのうちに

幼稚舎から高等部を備える聖フランチェスカ女学園は、「秘密の花園」と呼ばれるにふさわしいカトリックの女子校だ。少女たちの真面目さと育ちの良さでつくられる穏やかで整った時間が、この花園を包んでいる。しかし、その均質な穏やかさは、彼女たちをときに...
周年記念記事

寒宵堂六周年

<存在しない人間の似顔絵を描き、存在しない時間に、確かにあったように固定すること>「本を読んでイメージイラストを描くのが趣味です」と言うと、たいていの人に首を傾げられます。そういう趣味が世に存在すること自体、あまり知られていないのです。 描...
本の話

『北見隆装幀画集 書物の幻影』(北見隆)―語られるべき謎たち

しんとした画面の中では、簡素なシルエットの人間が、凍りついた顔でたたずんでいる。それが羽の生えた天使だったり怪物だったりすることもあるけれど、画面の中はいつも静かだ。その静けさの中、これから何か不穏な事件が起こる予感に満たされている。あるい...
画と画材の話

消しゴムはんこ(一角獣)

消しゴムはんこを彫ります。 ゴム版はSEEDの「ほるナビ」です。大きな文房具店に行くと、はがき大サイズが700円くらいで売っています。表層だけに色がついていて、彫ると白いところが見えるのでわかりやすい。 線画を描いて、濃い鉛筆(Bや2B)で...
本の話

『ヒュッゲ 365日「シンプルな幸せ」のつくり方』(マイク・ヴァイキング)―冬ごもりのために

ヒュッゲ(Hygge)。デンマーク語である。 日本語訳は難しい。「ささやかながら満たされた幸福な気分」、また「そのような気分にさせるものごとのさま」といったところだけど、本を一冊読んでも、ヒュッゲは、ヒュッゲであるとしか言いようがない。イラ...
カード

クリスマスカード(アビと宵里とコンパァトメント)

今年のクリスマスカードです。長野まゆみ著『天球儀文庫』より、アビと宵里を描きました。 クリスマスの朝、特急プロキオンのコンパァトメントを占領して休暇に向かう二人です。宵里はカードゲーム強そう。相手のスキをついていきなりあがりそう。 短編“夜...
本の話

『十一月の扉』(高楼方子)―物語は導く

十月の末にハロウィンが終わると、早くも街は十二月の準備を始める。クリスマスに向けてである。 毎年、ちょっとせわしなさすぎるんじゃないか、十一月はどこへ行った、と思いながら、それでも、きらびやかな缶に詰められたお菓子やクリスマスフレーバーの紅...