本の話

『六番目の小夜子』(恩田陸)―伝説の聖なる時間

「恩田陸の本って中盤までは最高におもしろいのに、すっきり終わらないんだもんなあ」 友人は楽器の練習をしながら言った。夕暮れの教室で彼女は大きな弦楽器をゴオゴオ弾き、私は傍らで机に浅く腰かけていた。メトロノームに合わせて、弦楽器はさっきから同...
カード

クリスマスカード(銅貨と藍生)

今年のクリスマスカードです。長野まゆみ著『天体議会 プラネット・ブルー』より、銅貨と兄の藍生を描きました。 12月の街をゆく。天球儀なんて、セールしてたらみんな欲しいですからね。 実はいままで、どうして藍生が下級生に人気なのか、私にはよくわ...
イラスト

二コルの塔イラストまとめ

小森香折著『二コルの塔』から、登場人物たちのイラストを描きました。★ニコルとサルヴァドール わかりやすい強さではないけど、強い子です。塔のある世界は「本質が隠されている世界」なので、ニコルの強さも最初は見えないのかもしれません。ニコルは何度...
寒宵堂雑記

すきまカフェ

この時季になると「おうちカフェ」が楽しい。わざわざ出かけるには寒いですからね。 個人的には「世界のすきまに落ちること」をこわいと思っていません。しんとしたきれいな林の中を散歩したり、哲学書を読んだり、夜更けにぼーっとしながら温かい飲み物を作...
本の話

『花豆の煮えるまで 小夜の物語』(安房直子)―山の娘でなくなるまで

山奥の小さな温泉宿に暮らす小夜は、風になって谷間を飛び、鬼の子や紅葉の精と話をする。小夜には母がない。母は山んばの娘で、小夜がまだほんの小さい頃に、ふるさとである山んばの里に帰ってしまったのだという。山のものたちの声が聴ける小夜は、山の精で...
カード

青い月の夜(2025残暑お見舞い)

お月様なんてそう簡単につかまりませんよ。でも、一回ボシャンとやれば、ちゃんと風味はついてます。 ライムのようなミントのような、青い月夜の味が。 残暑お見舞い申し上げます。稲垣足穂の『一千一秒物語』の力を借りて、今年のカードを仕立てました。 ...
紀行

柳川『月の裏側』紀行 

観光にはあいにくの天気でした。 けれど、梅雨空につつまれ、堀から湿気が上がり、透明な水蒸気のキューブに閉じ込められたような街は、『月の裏側』を満たす空気を思いださせるものでした。 恩田陸の『月の裏側』は「箭納倉(やなくら)」という九州の水郷...
イラスト

有栖川有栖作品イラストまとめ

他所で発表したり、私信で描いたりしたらくがき、イラストのまとめです。主に作家アリスです。★北白川の花見 桜の季節に描いたもの。 下宿の窓から桜が見えるといいな。でも、見えても花見に行こう。★作家アリスと誕生日ケーキ 誕生日は実はわからないん...
イラスト

長野まゆみ作品イラストまとめ

長野まゆみ作品のキャラクターイラストまとめです。これまでに他所で発表したり、私信で描いていたものを集めました。★イーイー(『テレヴィジョン・シティ』) ≪ヴィオラ≫を見つめるイーイー。★アナナス(『テレヴィジョン・シティ』) アナナスとイー...
本の話

『遊覧旅行』(長野まゆみ)―日常を変奏する

なんとなくちょっと取り出して読むのにいい本だ。日常を離れた、涼しい世界に連れて行ってくれる。 1990年代、JR西日本の観光キャンペーンのために書かれた短編が集められている。前半は“遊覧”と題された章で、二人連れの女性たちが京都・大阪・神戸...