コラム

コラム

“耳をすませば”(近藤喜文監督)―夢を見る方法

これは、1995年制作のアニメ映画である“耳をすませば”(近藤喜文監督)を真剣に観た、その記録である。 個人的な話から始まる。私はこの作品が好き、というより、特別な感慨をもっている。生まれたときに住んでいた町が、そのときの風景で、舞台になっ...
コラム

月の暦―旧暦から見る長野まゆみ『夏至祭』

≪はじめに なぜ少年たちの集会は半夏生の夜なのか≫ 「半夏生」という不思議な響きの日を私が知ったのは、長野まゆみの『夏至祭』による。まだ、全国のスーパーマーケットがこの日をめがけてタコを並べ出す前のことだ。 半夏生とは夏至の日から数えて11...
コラム

グールドのアリアと有栖川有栖

グレン・グールドのゴールドベルク変奏曲、作中で流れているのはどっちの盤なんだろう。 有栖川有栖の『46番目の密室』を読み返すたびに考えています。 クラシックファンという人種は厄介で、たいてい、家に同じ曲のCDを何枚も持っています。これはポッ...
コラム

時間の止まった中庭

前回取り上げた『メメント・モーリ』(おのりえん著)のなかで、主人公たちが、時間の止まった王宮の中庭を抜けていくシーンがあります。噴水とタイルで彩られた、草木には手入れの行き届いた、けれど夢の中のように現実感がない中庭です。彼らはその静けさを...
コラム

月彦のシャツ

前の記事 『野ばら』(長野まゆみ)―野ばらの垣根の向こうには のおまけ。 2015年に描いた『野ばら』の雑誌投稿用イラストです。 何も考えずにヌーベルのパステルで塗りましたが……この2015年夏号のかつくらで、画材にも投稿向きのものとそうで...
コラム

ティクターリクという魚

前の記事(『アクエリアム』(森深紅)―私たちはだれ?)から。 『アクエリアム』(森深紅 著)で、夜中のプールに忍び込んだ瞳子と遊砂が話をするシーン。瞳子は出会ったばかりの遊砂をある生物にたとえます。 瞳子は遊砂が投げ出した脚を、自分のものと...
コラム

天沢退二郎と、天沢退二郎ぽいもの

以前雑誌で(かつくら2016秋号)、“夜寝る前に読みたい本” を紹介してください、と募集がかかったので投稿したものです。 完全に悪夢狙いか。 あとから見たらほかの投稿者さんは「リラックスできる本」とか、そういう着眼点で選んでらした。なるほど...