studio_ishii

寒宵堂雑記

残暑お見舞い2019

よってらっしゃい、みてらっしゃい。世にも珍しい金魚の曲芸が始まるよ。 ああ、お客さん、ようこそいらっしゃいました。でも、あなたのような方は百年前にも来られたわ。
寒宵堂雑記

ソォダ水に飛び込みたい

見た人が涼しくなるように、という、ただそれだけのためのカード。 この年の夏も、ソォダ水に飛び込みたいくらいに暑かった。 グラスの順番を並んで行儀よく待っている魚たち。下描きの時点でなんとなくしか形を取ってなくて、いざこの形を真上から描くこと...
本の話

『給水塔 Beyond The Water Tower』(比留間幹)―ノスタルジアより遠く

表紙からすでに、「これはなに?」という感じがする。 給水塔の写真集です。 給水塔。 鉄塔と並んで、人の認識のあわいにある建造物のひとつじゃないでしょうか。同じ風景を毎日眺めていても、給水塔の存在に気づく人と気づかない人がいる。見慣れてないと...
コラム

月彦のシャツ

前の記事 『野ばら』(長野まゆみ)―野ばらの垣根の向こうには のおまけ。 2015年に描いた『野ばら』の雑誌投稿用イラストです。 何も考えずにヌーベルのパステルで塗りましたが……この2015年夏号のかつくらで、画材にも投稿向きのものとそうで...
本の話

『野ばら』(長野まゆみ)―野ばらの垣根の向こうには

野ばらの白い花が咲くこの季節になると読み返したくなる作品です。 野ばらを丹精している家は少ないけれど、ふと見つけるとうれしくなります。可愛い花だ。この垣根をくぐったら痛い痒い傷がいっぱいつきそう。 夢から夢へ覚めていく、不思議な眠りの中にい...
画と画材の話

博雅(吉祥顔彩)

夢枕獏著『陰陽師』シリーズより、源博雅。 博雅は犬っぽく描くとよい感じ、という経験則ができつつあります。晴明さんは狐っぽく描くとよいですね。今昔物語集も確かそう言っていたような(ウソ)。 このシリーズもいつか本腰入れて紹介したいと思ってます...
コラム

ティクターリクという魚

前の記事(『アクエリアム』(森深紅)―私たちはだれ?)から。 『アクエリアム』(森深紅 著)で、夜中のプールに忍び込んだ瞳子と遊砂が話をするシーン。瞳子は出会ったばかりの遊砂をある生物にたとえます。 瞳子は遊砂が投げ出した脚を、自分のものと...
本の話

『アクエリアム』(森深紅)―私たちはだれ?

水族館で展示生物に割り振られた、謎の管理番号。その仕組みを解き明かそうとしていた遠海学園中等科三年の瞳子(とうこ)は、学年一の問題児、遊砂(ゆさ)に声をかけられる。訝しむ瞳子に、遊砂は協力を持ちかける。遊砂が追っていたのは、学園の生徒一人ひ...
画と画材の話

陽子と楽俊(コピック)

『十二国記』シリーズ(小野不由美著)より、陽子と楽俊です。 楽俊の耳がどうなってるか、よくわかってないまま描いてます。山田章博さんの元の挿絵を見ると、もっとこう……パラボラアンテナ的なんですよ(やっぱりよくわかってない)。 コピックという画...
本の話

『麦の海に沈む果実』(恩田陸)―三月、まどろみの終り

再読していて、学園にやってきた理瀬が寮の部屋から湿原を見渡すシーンに差し掛かったとき、奇妙な懐かしさと安堵感があった。それは単に「読んだことがある」を超えて、「ああ、またこの部屋に戻ってきたんだ」という感慨だった。まるで自分自身の記憶がよみ...