『アクエリアム』(森深紅)―私たちはだれ?

 水族館で展示生物に割り振られた、謎の管理番号。その仕組みを解き明かそうとしていた遠海学園中等科三年の瞳子(とうこ)は、学年一の問題児、遊砂(ゆさ)に声をかけられる。訝しむ瞳子に、遊砂は協力を持ちかける。遊砂が追っていたのは、学園の生徒一人ひとりに秘密裏に割り振られた、英数字7桁の、展示生物と同じ “管理番号” だった。

二人の少女。手前が瞳子、奥が遊砂

 講談社ノベルスより刊行。だから、ミステリの扱いになるはず。

 彼女たちは苦心しながら “管理番号” のデータを集め、推論し、仮説に基づいて実験をし(それが成功してひどい目にあいながらも)、謎に挑んでいきます。「世界の秘密」にたどりつこうとするその過程、思考法は自然科学的です。理系ミステリの楽しさがある。

 そして、また一方で、これは優れたジョヴナイルでもあると思います。

 禁忌と言われる校則さえ破り、ひたむきに謎に惹かれていく瞳子と遊砂。
 7桁の番号が、水族館の展示生物の番号だったら、もちろん二人ともこんなに熱心にはならなかった。
 二人が命がけの冒険をしたのは、それが、自分につけられた番号だったからでしょう。そこには、「私は何者で」「私はどこからきて、なぜここにいるのか」という問いが介在した。

 謎を追う少女たちの全員が、この問いを問う。その熱心さに打たれるのは、同じ問いを持つ人じゃないか。
 結末がつらくて苦しいものでも、これは、問う、求めることに意義のある問いだ。

 おまけ。
 今回、画面の面積的にはあまり役に立っていない、制服デザイン屋の(ほぼムダな)努力も上げさせてください。だって「謎めいた」「全寮制の」「私立」「女子校」だよ。前のめりで制服描くよ。

アクエリアムの制服デザインラフ。丈の長い白いワンピース。

 スタンドカラーの、白を基調としたワンピースです。学校の制服としてはなかなか珍しい。
 なので、当初はガールスカウトや合唱団の舞台衣装をイメージしてまとめようと思っていました。
 しかし中盤で「アオザイに似ている」という描写が。えーっ、それは予想外……。
 丈が長いのかな?アジア的なシルエットだとワッペン(作中で重要な役目がある)を調和させにくいしなあ、と悩んで、描き直したのが右の図です。体にぴったりとした細身の、というところでアオザイぽさが出たでしょうか。たぶん、これだと後ろにチャックがあります。

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◆寮長の四季を加えた3人のイラストと、四季のラフ画です。四季好き。

◆水槽を見上げる瞳子のイラストがあります。

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