寒宵堂雑記

はつなつの かぜ

かぜ と なり たや はつなつの かぜ と なり たや川上澄生“初夏の風”より 近所に、とても風情のある廃屋があります。開拓のころからあるようなたたずまいの木造家屋です。 うっそうとした庭で、ハゼやイタヤカエデが青々と葉を繁らせ、クルミも青...
本の話

“Larme(ラルム)”―汝、滅びと破壊を飼いならすこと

唐突にキャミソールが描きたくなり、キャミソールの魅力を熱く解説したペーパーを作成して、友人に送った。突然送られるほうもびっくりだ。まあ、周りに人のいないところで開けてね、と事前に知らせたし。……キャミソールはいいぞ。あの儚くて実用性のない感...
ブックリスト

春のホンまつり

春といえばパンまつりだ。 菓子パン等についているシールを集めると、白い皿がもらえるあれだ。 友人がパンまつりのシールを集めているというので、頼まれないうちから勇んで協力を申し出た。もちろん見返りなどない。たのしそうだからである。 そしてさら...
周年記念記事

寒宵堂四周年

弦はすべて、錆ひとつないように磨きあげ、締めなおして音程を保つ。 さて、隠喩の和音が調和をもって響くか。諷喩の倍音が導き出せるか。 場面の描写から象徴の位相までを自在に転調できるか。 疾走するタッチの軽やかさが出せるか。同時に、重さが受け止...
コラム

グールドのアリアと有栖川有栖

グレン・グールドのゴールドベルク変奏曲、作中で流れているのはどっちの盤なんだろう。 有栖川有栖の『46番目の密室』を読み返すたびに考えています。 クラシックファンという人種は厄介で、たいてい、家に同じ曲のCDを何枚も持っています。これはポッ...
本の話

『46番目の密室』(有栖川有栖)―ロックド・ルームへようこそ

その作品を読む前から、有栖川有栖、という変わった名前は知っていた。 図書館の文庫棚に収まって、魅惑的なタイトルがこちらに謎をかけてきていたからだ。『海のある奈良に死す』、『月光ゲーム』、『ロシア紅茶の謎』―タイトルの言葉の選び方からして、あ...
カード

鉱石倶楽部と氷州石

なにかいいことがあったらしい銅貨と水蓮、鉱石倶楽部で乾杯。 いや、彼らのことだから、案外なんでもない日なのかも。 鉱石倶楽部というのは、『天体議会 プラネット・ブルー』(長野まゆみ著)に出てくる、主人公の少年たちが行きつけにしている店です。...
カード

出しそびれた年賀状

『機龍警察 白骨街道』(月村了衛著)がおもしろかったから早川書房に年賀状出そう、と思って描き始めたはいいものの、結局間に合わなかったイラストです。 何をやっているんだ私は。いろんな意味で。 年末に、「機龍警察の姿さんを年賀状にして早川書房に...
本の話

『餅と日本人』(安室知)―稲作文化の輪郭にふれる

年末は悪友たちと中華料理を囲んで、民俗学や古典の話でわあわあ盛り上がったのでした。恐ろしい話や不思議な話がいくつになっても大好きなのです。 ありがたいことに、この宴会メンバー、皆どんなに飲んでいても情報の出典は正確に言う。言いたがる。言えな...
カード

クリスマスカード(水蓮と銅貨)

今年のクリスマスカードは長野まゆみの『天体議会』から、水蓮と銅貨を描きました。 クリスマスイブは天河市場(てんがプラザ)で待ち合わせ。 何年か前の冬まつりの露店で、熱々のホットチョコレートにコアントロー(オレンジリキュール)をどばーっと注い...