唐突にキャミソールが描きたくなり、キャミソールの魅力を熱く解説したペーパーを作成して、友人に送った。突然送られるほうもびっくりだ。まあ、周りに人のいないところで開けてね、と事前に知らせたし。……キャミソールはいいぞ。あの儚くて実用性のない感じが。

イラストペーパーを作って遊ぶとき、〇〇みたいにしよう、とデザインのテーマを決めて作ることがよくある。例えば、おしゃれなスクラップブックみたいにしよう、とか、商店街のミニコミみたいにしよう、とか。
今回のテーマは「女性ファッション誌みたいにしよう」だった。
確かにファッション誌風になった。
というかこれは、“Larme” だ。
まるで意識せずに到達したのがこのテイストなので、この雑誌は私に刷り込まれているのだと思った。思い知った。
“Larme” は10-20代のガーリーテイストを好む女性をターゲット層にしたファッション誌である。
私がこの雑誌のまともなターゲット層だったことはない。少なくとも服を買う参考にしたことはない。にもかかわらず、この世界をたびたびのぞき見たくなってしまう。
こんなに上手に滅びと破壊を飼いならし、味方にする雑誌を他に知らない。
いや 天国で頭痛がするわけない
“Larme”2021秋号 p.102より
滅びを感じさせるもの、破壊の気配がするもの―そういったものに惹かれる気持ちを、もっとストレートに出した雑誌はほかにある。文芸誌の、“夜想” や“TH(トーキングヘッズ)” はそうだと思う(正確には書籍扱いだが)。ぱっと見てゴシックな世界だとわかる。
“Larme” は一見そうではない。にぎやかなフリルと、可愛らしいリボンと、レースやチュールで紙面はこれでもかと飾られている。なのにいつも、どこかせつない、儚い感じがする。
きっと、レースもリボンも、彼女たちにとっては嗜好品であると同時に鎮痛剤なのだ。滅びや破壊に呑み込まれてしまわずに、それらを少しだけ自分のそばに置くための。この雑誌の作り手もモデルも、それをわかっている。だから読者にも伝わる。いや、共感する読者が残るのだ。

そういう意味では、私は“Larme” の正しいターゲット層である。
追記)ファッション誌だけれど、“Larme” に薦められて観た映画はわりとあります。ソフィア・コッポラ監督の『ヴァージン・スーサイズ』とか。これも、美しいけど滅びの気配に満ちた映画です。傑作。
逆にヤン・シュヴァンクマイエル(チェコのシュールな映像作家)は“夜想” で知ったのだけど、そのあとに“Larme” が釘をたくさん打ったフランスパンをモデルに持たせていて、シュヴァンクマイエルの『アリス』のパロディ!と一人でうれしくなったが、これはちょっとマニアックすぎる気がするね。




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