周年記念記事

寒宵堂一周年

寒宵堂、という号は「一灯独守寒宵(一灯独り寒宵を守る)」から採りました。 ともしびが一つ寒い夜にまたたいている、という意味で、中国清代の書物のことばだそう。 では、灯りをつけて何をしているんでしょう。 私がこの言葉を知った『六字名句墨場必携...
本の話

『聲』(川田順造)―声のブロードキャスト

タイトルは「声」の旧字体です。表示されないかもしれないので書いておきます。 文化人類学者の川田順造が、主に専門であるアフリカの例を引きながら、人の声、肉声のもつ力について幅広く語る。呼ぶ、歌う、奏する、ほめる、あてこする、真似るなど、個人か...
本の話

『えんの松原』(伊藤遊)―怨のゆくえ

地面を歩く。湿った松葉のじくじくした感じ。小枝を踏む音。生き物が身を潜めている気配がする。 五感が、物語の中に没入していく。 児童書は、「この本が、その子どもが読書の楽しさを知る最初の本かもしれない」というのを常に想定して書かれている。 だ...
画と画材の話

徹夜祷(CDジャケット作成)

吹雪のなか教会の灯りがまたたく。質素な身なりの人たちが集まってきて、歌い始める。初めは細い声で。祈りの歌声は、次第に吹き上げるように大きくなっていく。天にも届くように…… 本を読んで絵を描く以外にも、音楽を聴いてCDジャケットを作成すること...
本の話

『星条旗の憂鬱 情報分析官・葉山隆』(五條瑛)―ここは極東(ファーイースト)

「再開を祝して、ロシア式の挨拶で」五條瑛著『星条旗の憂鬱 情報分析官・葉山隆』p.231より 1話目から日米地位協定の話でやられた! 首根っこつかんで揺さぶられたような心地で、一気に目が覚めた。そうだった、五條瑛はこういう書き手だった。 エ...
本の話

『閉じ箱』(竹本健治)―推理作家の宝石箱をのぞく

軽井沢の観光地図を見たことがある。雑木林を縫うようにして小道がまばらな網目のように走り、それに沿って別荘がぽつん、ぽつん、と配置されているのだった。 なるほど、二人の少年が冬の夜、枯枝を踏みながら通ったのはこんなところか、と思いながら「雑木...
カード

今年のクリスマスカード(バチカン奇跡調査官)

今年のクリスマスカード。 『バチカン奇跡調査官』シリーズ(藤木稟)の二人でした。 『バチカン奇跡調査官』は科学捜査と暗号解読をそれぞれ専門とする天才神父二人が、世界中で起こる “奇跡” ―というか怪事件―を解明する冒険小説。いずれここでも本...
寒宵堂雑記

4年前のクリスマスカード

クリスマスの楽しみの一つに、夜中の散歩があると思う。 別にやってもやらなくてもいい用事を作って、24日深夜の静かな街を歩き回る。住宅の暖かい灯りも、店じまいした店舗の奥の灯りも、みな、何かを待っているような不思議な緊張感があってわくわくしま...
本の話

『ポール・デルヴォー シュルレアリスムと画家叢書』(アントワーヌ・テラス)―夜の底へ

河出書房新社から出ていた画集シリーズで、シリーズ副題を “骰子の7の目”という。ほかに、マグリットやエルンスト、ベルメール(訳はあの澁澤龍彥!)などの巻があります。なぜこんな名前なのかは知らないけれど、確かに普通に振っていたのでは出ない目、...
画と画材の話

指輪(とホルべイン透明水彩)

透明水彩絵の具は2種類持っています。吉祥とホルべイン。 日本画絵の具の吉祥顔彩が目の覚めるような華やかな発色をするのに対し、洋画のホルべイン透明水彩は沈んだ深みのある発色をします。これ、逆ではなく。 一つの画に両方使って塗ることもありますが...