河出書房新社から出ていた画集シリーズで、シリーズ副題を “骰子の7の目”という。ほかに、マグリットやエルンスト、ベルメール(訳はあの澁澤龍彥!)などの巻があります。なぜこんな名前なのかは知らないけれど、確かに普通に振っていたのでは出ない目、のような画家たちではある。
私が10代を過ごした町の図書館には、一般開架のほかに大きな開架の書庫がありました。年数の立った本、利用頻度の少ない本はそこに天井近くまでぎっしり積まれて、借り手を待っていました。蛍光灯は暗く、通路は狭く、踏み台は壊れ気味。私は、その壊れ気味のガタガタする踏み台に座って “骰子”を開くのが好きでした。
特にデルヴォーの巻は繰り返し眺めました。こちらを見返さない女たちの大きな眼。謎めいた身振り。
それに、本を開けば、外がどんなに燦々と日が照る夏の朝でも、瞬時に夜が出現するのが不思議だった。今でも、デルヴォーの画集は部屋が暗い状態で、特に夜に開くことが多いです。ひたひたと白い足で歩いてくる女たちの踏みしめる、冷たい石畳の延長にここがあるように。
ところで、私はスクラップブックもしています。新聞の記事などを貼る用ではなくて、気になった図像をコレクションしていく、美術でやる方の。月面図やギャラリーのチケットが集まってきて、これは何だか「夜」のイメージのページができるぞ、と思っていた時、ふと気づいたのでした。

……それってもしかしてデルヴォーの「夜」?
意図せずして。いやほんとに。
ちなみに右中段の建物は稚内の北防波堤ドームです。




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