本の話

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『ポール・デルヴォー シュルレアリスムと画家叢書』(アントワーヌ・テラス)―夜の底へ

河出書房新社から出ていた画集シリーズで、シリーズ副題を “骰子の7の目”という。ほかに、マグリットやエルンスト、ベルメール(訳はあの澁澤龍彥!)などの巻があります。なぜこんな名前なのかは知らないけれど、確かに普通に振っていたのでは出ない目、...
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『天体議会 プラネット・ブルー』(長野まゆみ)―すきとおった夜天の下の孤独

冬の冴えた夜天を見上げる。シリウスを目印におおいぬ座を見つけ、その前足と後足であるβ星とζ星を結んだ直線を、水平線に向かって延長する。 りゅうこつ座の一等星であり、全天で2番目に明るい星であるカノープスの見つけ方です。 この作品を読んで以来...
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『月光ゲーム Yの悲劇 ’88』(有栖川有栖)―フェアかつファウル

夏が終わります。ギリギリすべりこみで、この本の話をしておきたいのですが、間に合いますか、夏。 まだコーンフレークもスイカも食べてないし、サンダルも1回しか履いてないし、『月光ゲーム』も読み返してないのに何で終わるんだ、夏。短い。 推理小説家...
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『幻狼神異記』シリーズ(横山充男)―野性の呼び声

およそだいたいの児童書は、中盤くらいまで読むと、書き手が「何を是として」「結論をどこに着地させたいのか」おぼろげにでもわかるものなのだけど、このシリーズは難しかった。 もちろん横山充男さんはわざとそうしていて、『児童文学の書き方』という著書...
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『北斗学園七不思議』シリーズ(篠田真由美)―魔女の系譜

物語を形作る主要人物の系図が、「本人(男)、父、祖父、(父と違う価値観を持つ大人としての)伯父、(同性の)親友」で閉じている物語はたくさんある。 ありすぎていちいち気に留めないほど存在します。 「父から息子へ受け継がれる力」というのは普遍的...
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『詩はどこに住んでいるか』(天沢退二郎)―詩人と散歩に出る

これは詩人、童話作家である天沢退二郎のエッセイ。 実は“現代詩手帖”に詩論として連載されていたものですが、天沢先生が千葉市周辺を歩き回った描写がそのまま比喩になって現代詩のことを論じているという・・・一風変わった本なので、ぱっと見はエッセイ...
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『レメディオス・バロ 予期せぬさすらい』(ジャネット・A・カプラン)―地続きの奇妙な世界

『ニコルの塔』を取り上げたからには(以前の『ニコルの塔』(小森香折)―名前をめぐる冒険という記事です)物語にかかわっている画家のレメディオス・バロのことも書いておきたい、と思っていたのでした。 レメディオス・バロ(1908-1963)はスペ...
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『ニコルの塔』(小森香折)―名前をめぐる冒険

前回の「学校は異界」という記事を書いていた時に、なんだかそんな作品はほかにも知ってるな、と思っていたのがこれです。 知ってるな、と今とぼけましたが、実は大好きな作品です。何度も読み返してます。 高い塔のある厳格な修道院学校で日々、刺繍を学ぶ...
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『ミネハハ』(フランク・ヴェデキント)―学校は異界

学園もの小説が好きです。 といっても、部活がんばって全国大会に行ったり、甘酸っぱい初恋があったり、将来の夢と希望にあふれていたり…しないやつですね。 学校とは奇妙な場所だと思うのです。 表向きは、ベクトルが(指向が)実社会に向いています。 ...