物語を形作る主要人物の系図が、「本人(男)、父、祖父、(父と違う価値観を持つ大人としての)伯父、(同性の)親友」で閉じている物語はたくさんある。
ありすぎていちいち気に留めないほど存在します。
「父から息子へ受け継がれる力」というのは普遍的な人気を持つテーマで、たぶんこの先も書かれ続けるでしょう。「父親殺し」もまた普遍的な人気を持つテーマで(笑)、これはまあ、前者の裏返しかな。
そうでない骨格の物語を見ると、ちょっと「あれ?」と思う。
篠田真由美の作品は「本人(むすめ)、母、祖母、伯母、(同性の)親友」という体系が本当にごく自然に出てくるので(それも、いかにも「女系を描きました」という気負いなしに)はっとします。
しかも、「母から娘へ受け継がれる力」というものが、一般的には何かあたたかいもの、やさしいものであると思われている大方の予想を裏切って、権力だったり知力だったり何か邪悪な力だったりします。
篠田真由美は生粋の ”魔女描き” 、なのです。
東京のどこかにある謎多き巨大な学園。その中等部に所属する3人の少年たちは、ほんの思いつきから学園の謎を追いかけるうちに、思ってもいなかった秘密にたどり着き、策略に巻き込まれていく。
主人公は少年ではあるけども、物語の骨格としてはやっぱり女系ものっぽい。
このシリーズの2巻から出てくるアンナ・リンゲ・フルミヤという不遜な少女がお気に入り。下の赤毛のむすめです。
「ほら、この眼を見て。魔女の眼ヨ。イーヴル・アイ、凶眼というの。睨まれると呪いがかかるワ」
篠田真由美著『闇の聖杯、光の剣 北斗学園七不思議2』文庫版p.130より

上は不破宙美。主人公たちの先輩で、この人も謎めいている。
後ろの木はリンデンバウム(セイヨウボダイジュ)です。ドイツに関係のある話なのでドイツっぽい木を描こうと思った記憶があります。
よくみたら地元の駅前に植わっていた。






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