およそだいたいの児童書は、中盤くらいまで読むと、書き手が「何を是として」「結論をどこに着地させたいのか」おぼろげにでもわかるものなのだけど、このシリーズは難しかった。
もちろん横山充男さんはわざとそうしていて、『児童文学の書き方』という著書の中では「作中で読者に謎かけをするが、対象年齢が高い作品の場合は、その解答を示さなくてもいい」ということを…確か言っていたと思います。今手元にない…「うわ、スパルタだ」と思ったのでそこよく憶えてるんですけど。
というわけで、読み手はかなりの(精神的な)格闘を強いられます。ファイッ!

前の中学で暴力事件を起こした健は、私立校の学璽院中学に転入し、今度こそ平穏な学校生活をおくろうと決意する。おだやかでまじめそうな生徒たち。しかし、何かがおかしい。
入部した古代史研究会では、絶対的な権力を持つ部長・敷島一輝が健に告げる。
健は凶暴な“狼霊”に憑かれていて、その力を制御できるようにしたければ自分とその仲間に従うほかないと。
全く納得できない健だったが、自身の力の正体を知るために、一輝の仕組んだ戦闘に挑んでいく。
そして、健の持つ“狼霊”の力をめぐって、不穏な勢力が動き出す―
このブログ、今のところ「ぜったい入学したくない学校」しか紹介してないような。
敷島が牛耳る学校の中で、ほぼ孤立無援で戦うことになる健を、何かと心配してくれる唯一の味方が同級生の葛城ゆかり。かわいいです。殺伐とした本シリーズで貴重な子。
最終巻でひどい目にあってかわいそうなので、せめて彼女の笑顔を描こうと思いました。
ああ……。
横山充男の得意とするシャーマニックな世界観が手加減なく出ていて、それがこの作品を奥行きを持った「児童文学」にしている印象です。
これは私の個人的な意見なのですが、やっぱり、児童文学は「扉」であってほしい。気晴らしの娯楽で終わらない、そこからまだ見ぬ世界が広がっている入口であってほしい。
やや展開が急だとか、なかなかにバイオレンスだとかいろいろありますが、この作品は「扉」として充分です。パワーがある。
全3巻。
おまけ。
本文で「白地に青のラインが入ったセーラー服」と制服が描写されていて、普通に考えれば、これはきっと襟のラインですね。でも学璽院は剣呑な学校なので、あえて軍服の袖章のように入れてみました。
小説の制服デザインたのしい。




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