本の話

『クラバート』(プロイスラー)―魔法の外へ

『クラバート』を初めて読んだとき、私は親元を離れて一人暮らしを始めたばかりの19歳だった。受験勉強を終えてふいに手に入った「自由」をかみしめ、反動のように本を探して読んでいた。 すでに子どもでなくなった私が読んでも、おもしろい児童書ファンタ...
カード

ケンタウルス、露をふらせ(2024残暑お見舞い)

藤井セントラル(札幌市中心部にある大きな文具店。画材も揃う)で、新しく発売になったHERBIN(エルバン)のドローイングインク を見つけてしまったのです。“Éclats(エクラ)”という。ただ、絵の具としてはとても……かなり高価なので、ずら...
おしらせ

当ブログ移転に伴うURL変更のおしらせ

ブログの「引っ越し」とリニューアルを行いました。データごと別のサーバに移転しています。そのため、2024年8月7日をもって、URL(ドメイン)が変更になりました。旧ブログURL: 新ブログURL:  この移転によりWeb広告の完全な非表示、...
紀行

「月光百貨店」と足穂の神戸

兵庫県芦屋市の「月光百貨店」で開かれた、“稲垣足穂オマージュ展2024 一千一秒奇譚”(会期2024年7月21日から8月4日)に行ってきました。 ちょうど関西に用事があったので、思い切って足を延ばしてみたのです。実は、芦屋もですが、神戸を訪...
コラム

月の暦―旧暦から見る長野まゆみ『夏至祭』

≪はじめに なぜ少年たちの集会は半夏生の夜なのか≫ 「半夏生」という不思議な響きの日を私が知ったのは、長野まゆみの『夏至祭』による。まだ、全国のスーパーマーケットがこの日をめがけてタコを並べ出す前のことだ。 半夏生とは夏至の日から数えて11...
本の話

『夏至祭』(長野まゆみ)―いつかまた祝祭の季節

夏至が近づいてくると、なんとはなしに気持ちが浮き立つ。次々に花が咲き、甘い蜜の匂いが漂い、青い夕暮れに包まれる。その空気と薄明の中で、今年もまた『夏至祭』が読みたくなるのだ。 電灯をつけないままの部屋に、ろうそくだけ灯す。これで十分明るい。...
紀行

『神さまたちの遊ぶ庭』トムラウシに行ってきました

抜けるような広い空です。小鳥のさえずる声以外は、なにも聞こえない。 学校は午後の授業の時間でしょうか。しんとしています。 宮下奈都のエッセイ『神さまたちの遊ぶ庭』で描かれる、ここが、トムラウシです。 一目見てみたかった。 たしかに「景色が神...
イラスト

木漏れ日/木下闇

木漏れ日を描こう、と思い立って始めたのだけど、本当に描きたかったのは木下闇の方だったかもしれない。人物の顔のほとんどを、陰に入れてしまう。視線も闇の方を見てもらう。そのほうが眩しくないしね。有栖川有栖著の“学生アリス”シリーズより、江神さん...
ブックリスト

閉鎖的な学園から脱出する物語セレクション

学園もの小説をよく読みます。登場人物たちと年が近かった頃も読みましたが、大人になってからもまだ読んでいます。これからも読むつもりです。特に、息苦しい雰囲気の学園が出てくるのをたくさん読んでいます。 ある時、学園もの小説について「厳しい校則と...
本の話

『秘密の花園』(三浦しをん)―花園は私たちのうちに

幼稚舎から高等部を備える聖フランチェスカ女学園は、「秘密の花園」と呼ばれるにふさわしいカトリックの女子校だ。少女たちの真面目さと育ちの良さでつくられる穏やかで整った時間が、この花園を包んでいる。しかし、その均質な穏やかさは、彼女たちをときに...