本の話余録

イラスト

二月最後の日の転入生

恩田陸『麦の海に沈む果実』より、冒頭の場面。 列車は湿原のただなかを走り、孤絶された学園“三月の王国”へと向かう。 何度も読み返していて、その本と出会っていない人生が想像できない、という本が何冊かあります。『麦の海』はそのうちの一冊です。【...
カード

クリスマスカード(水蓮の冬の休暇)

冬の休暇のことを考えてると、もう授業なんて手につかないね。 今年のクリスマスカードです。ちょっと幼い、『三日月少年漂流記』くらいの水蓮かな。 長野まゆみ作品のクリスマスの楽しそうなことといったら。あんな町にいたら、それこそ12月に入った瞬間...
クッキング

アビと宵里のアイスドロップ

宵里はクーラーボックスに手をのばし、ためらわずにパイナップルを取りだした。それらのアイスドロップは昨日の罐詰で作ったものだ。といっても手間はかゝらない。罐入りフルウツをシロップごとジュウサーで攪拌する。それをボール型が十二個ならんだ製氷皿に...
コラム

グールドのアリアと有栖川有栖

グレン・グールドのゴールドベルク変奏曲、作中で流れているのはどっちの盤なんだろう。 有栖川有栖の『46番目の密室』を読み返すたびに考えています。 クラシックファンという人種は厄介で、たいてい、家に同じ曲のCDを何枚も持っています。これはポッ...
カード

鉱石倶楽部と氷州石

なにかいいことがあったらしい銅貨と水蓮、鉱石倶楽部で乾杯。 いや、彼らのことだから、案外なんでもない日なのかも。 鉱石倶楽部というのは、『天体議会 プラネット・ブルー』(長野まゆみ著)に出てくる、主人公の少年たちが行きつけにしている店です。...
カード

出しそびれた年賀状

『機龍警察 白骨街道』(月村了衛著)がおもしろかったから早川書房に年賀状出そう、と思って描き始めたはいいものの、結局間に合わなかったイラストです。 何をやっているんだ私は。いろんな意味で。 年末に、「機龍警察の姿さんを年賀状にして早川書房に...
カード

クリスマスカード(水蓮と銅貨)

今年のクリスマスカードは長野まゆみの『天体議会』から、水蓮と銅貨を描きました。 クリスマスイブは天河市場(てんがプラザ)で待ち合わせ。 何年か前の冬まつりの露店で、熱々のホットチョコレートにコアントロー(オレンジリキュール)をどばーっと注い...
イラスト

家守綺譚らくがき

梨木香歩の『家守綺譚』のイラストを描いています。 描きながら、NHKのラジオドラマ版を流していました。水辺の音がちゃんと再現されていて雰囲気があります。家のそばを流れる疎水の音や、高堂が漕いでくるボートのオールが水を跳ね上げる音が心地いい。...
イラスト

夏の終わりの絵日記

今年の夏は、楽しみにしていたシリーズ物の新刊が出たので幸せだった……ちょっと待って「幸せ」ってなんだろう。読後に力尽きて燃えがらになるところまで「幸せ」って言うかな。言うんだっけ。 すさまじかったです『機龍警察 白骨街道』(月村了衛著)。死...
イラスト

山の日らくがき(合田刑事)

海と山なら、どちらかというと山のほうが好きです。 しかし、山ならどれとも仲良くやっていけるかと言われると、そうではない。気の合わない山もある。といったらおかしいけれど。 山にも性格がある気がする。 見た目や気候、それが抱える生態系、長年にわ...