夏だ。夏と言えば文庫フェアだ。

この邪悪なパンダの小冊子は何かというと、友人に「読んだあと虚脱するほど衝撃を受けた本があるでしょ?そういう本の話をしてほしい」と言われたので手作りしたものです。ちょうど季節だったので、夏の文庫フェア小冊子風にしました。名付けて「宿敵文庫の6冊―人生をねじまげた本―」です。
話題を振るほうも振るほうだし、応えるほうも応えるほうで、ちょっとどうかしています。
本を読んで「感動する」、その感動とは「じんわりといい気持ちになる」ことばかりではありません。それもなくはないけれど。
「今まで自分が信じてきたものが目の前で焦土にされる」感動だってあります。感動は「自分の考えと相いれないものが力をもって居座り続ける」事態を作ります。一冊の本によって、望むと望まざるとにかかわらず、世界の見方を変えられてしまう。焦土からまた新しい世界を作っていく。すがすがしい。でもそれは、心身のダメージと引き換えのすがすがしさです。
だから、(私にとって)感動することは晴れやかな一方で苦しい。本に人生なんか変えられたくないんだ。
私はそういった本を人に薦めることは、一種のテロ行為だと考えていたので、今まで友人の前ではどうにかそれを避けてきたのです。
しかし「あるでしょ?」ときた。ええ、あります。その話をしていいの?
友人曰く、
「同じ本を読んでも全員の人生が変わるとは限らないよ。むしろそうならないことのほうが多いよね。だからテロにはならないと思う。それに、人生でそれだけの本に出会う僥倖はそうそうない。もしテロだとしても積極的にテロってほしい」
……正気か。
問いを立て続けること、確固たる「私」など常に吹っ飛ばして前に進むこと。そうやってしか生きられないのを、本当は私も知っています(「本に人生なんか変えられたくはない」はたまの泣き言です)。
しかしまあ、それをここまで堂々と言えるとは。参りました。完敗です。

偽フェアのお知らせまでつけてみた。
パタパタと折りたたむと1冊の小冊子になるようにしている。解説文は、印刷した後の紙に手書きで書き加えることにした。
(2024.8.5追記:この時紹介した本は、ブルフィンチ著『ギリシア・ローマ神話 付インド・北欧神話』、『チベットの死者の書』、吉田直著『トリニティ・ブラッド』シリーズ、五條瑛著『プラチナ・ビーズ』、髙村薫著『レディ・ジョーカー』、そして萩尾望都著『トーマの心臓』です。)
ほんとに大丈夫かなこれ。まるで安全が保障されてないよ。うっかり出家するとかなったら私泣いて止めるからね。



コメント
せんせー!
そのテロ行為の6冊、コソっと全て教えて下さいな。
この夏、読んでみるか・・・も、しれません。
ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ
>>1
こんばんは。ご質問ありがとうございます。
『ギリシア・ローマ神話 付インド・北欧神話』(ブルフィンチ著、岩波文庫)
『チベットの死者の書』(ちくま学芸文庫)
『トリニティ・ブラッド』シリーズ(吉田直著、角川スニーカー文庫)
『プラチナ・ビーズ』(五條瑛著、集英社文庫)
『レディ・ジョーカー』(髙村薫著、新潮文庫)
『トーマの心臓』(萩尾望都著、小学館文庫)
でした。何年もかけて少しずつ染み込んできた本も、一夜にしてものの見方を変えてしまった本もあります。本当はこの十倍くらいあるのです。
そういった本も少しずつ記事にしていこうと思います。