山の日らくがき(合田刑事)

 海と山なら、どちらかというと山のほうが好きです。
 しかし、山ならどれとも仲良くやっていけるかと言われると、そうではない。気の合わない山もある。といったらおかしいけれど。

 山にも性格がある気がする。
 見た目や気候、それが抱える生態系、長年にわたり人間と作ってきた文化、ものによっては信仰、それらが一緒くたになって、ふもとの町に足を踏み入れた時に「性格」として感じられる。

北岳と合田さん

 髙村薫の警察小説『マークスの山』の中で、主人公の合田雄一郎が北岳にたとえられる場面があります。これは先ほどと逆で、「人を山にたとえる」なのだけど、この部分を読んだとき、自分の中で逆の回路も働いたのが面白かった。すなわち、「ああ、北岳ってたしかに合田さんみたいなところあるよね」。峻厳で、孤高で、人を寄せ付けないよね。でもそういうところが好きです。

 イラストは合田さん。らくがきがてら、厚塗り技法の練習です。合田刑事シリーズの話もいつかしたい。

 私の近所の山も、あまり人好きのする「性格」ではない。しょっちゅう遭難や滑落があるし、熊も出るし。一見、穏やかで安全に見えるけど、その楽園は本来、人間のためのものではないんだ。たまに目をやると、「山がそびえている」というより、「異界が浮かんでいる」と言ったほうが適切な姿でただそこに居る。全く癒されない。むしろ、ぞっとする時がある。
 それでも、この町を離れたら懐かしく思うのでしょう。あの清冽な白さと、手の届かなさを。
 仲良くやれてるよ。

 山の日でした。

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