クリスマスカード(アビと宵里と謎の少年)

 今年のクリスマスカードです。去年に続いて、長野まゆみ著『天球儀文庫』所収、“夜のプロキオン”より。
 謎の少年の闖入で、休暇先に向かう特急列車に乗りそこなったアビと宵里は、にぎわう駅を引き返し、家族の出はらった家に戻って、静かなクリスマスイブを迎えます。この夜の描写が、なんとも言えず素敵なのです。

ガラスは部屋の暖房と外の冷気で真っ白である。宵里はガラスを指でこすった。
「アビ、夜天がすっかり曇ってるぜ。今夜は雪になるかもしれない。」

長野まゆみ著『天球儀文庫』p.69より

 ああ、今年最初の雪を、しかもクリスマスの夜に、降るかな降るかなー、と待ちどおしく思っている、この気持ち。窓を拭いては外を見てしまう気持ち。わかるなあ。

「アビ、雪だ。降ってきた。」
 静かに時が流れ、いつのまにか午后の十一時を過ぎていた。外を眺めていた宵里は、勢いよくガラス窓をあけた。とたんに凍るような空気が流れこんでくる。

同p.70より
窓を開けて雪を眺める少年たち。

 ……だからって、いきなり窓あける??
 結露で外がよく見えない、という前ページのフリがあるとはいえ、ここ、宵里の宵里らしさに笑ってしまいます。あけるのかよ!そりゃ寒いよ!宵里は、うれしい気持ちに躊躇がない。自分が楽しいほうに動くのです。
 しかも彼、本文では半袖セーターなのです(「雪白のアンゴラセータァを着ていた。しかも半袖だ。」同p.65)。ええ……。カード単体では彼の性格が伝わりきらないかな、と判断して、無難に長袖を着せてしまいましたが。思い切って、本文通りに半袖で描いてもよかったかも。

 宵里らくがき。

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◆2023年のクリスマスカード。一夜明けて、特急に乗って出発するアビと宵里のイラストです。よい休暇を。

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